院長の「JoJoブログ」
放射線
2011-06-06 23:13:43投稿
福島第一原発の作業員が、熱中症でたおれたというニュースが連日伝えられている。
放射線の防護服は、テレビでしか見たことはないが、これを着て夏に作業をするのは、並みの体力では無理だと、3月から思っていた。
実は私、医学部の学生時代に、循環器内科の心臓カテーテル検査を見学していたとき、放射線防御のための鉛入りのチョッキ(プロテクター)をつけ、風通しのわるい清潔ガウンをその上に着て、ずっと立っていたら、気分が悪くなったという情けない経験をしている。別に、血をみて卒倒したわけではなく、肩にのしかかるプロテクターの重みと、ガウンによる皮膚呼吸のできない感覚で、たっていられなくなったのだ。
プロテクターに清潔ガウンなんて、病院の手術室や、造影室では当たり前のことで、その上で、内科のドクターは、検査や処置をするわけだし、整形外科の医者なんかは、その格好で何時間も手術をする。しかし、体力のない自分は、そのいでたちで1時間たっているのが限界だった。
医学部の実習を終えて、就職先の科を選ぶとき、選択肢としてあがったのは、プロテクターをつける放射線の造影にたずさわる機会ができるだけ少ない科というのが条件のひとつだったのは、いうまでもない。
同じ放射線を浴びる作業とはいえ、原発事故の作業は、病院での仕事などとは比べようもないくらい、想像を絶する暑さと危険を伴う中で行われているのだと思う。保冷剤をセットしたベストを用意したとニュースで伝えられていたが、熱中症で倒れる人が出る前に、もう少し対策はあったのではないかと、気の毒に思っているのは、私だけではないと思う。それでも、事故の収束にむけて、作業をやめるわけにはいかないのだから、これ以上病人をださないで一歩ずつすすんでいってほしい。