院長の「JoJoブログ」

初めてのDNF

2014-09-15 12:32:26投稿

撃沈!
過酷なトレランレースは、甘くなかった。

前回、このブログで、白竜湖トレランレースに参加することを書いていたのだが、案の定、完走(完歩?)さえできず、初めてのDNF(do not finish)となった。
もしかすると、ゴールできたかもしれないと、今も未練タラタラなんだけど、仮にあのままゴールしていたとしたら、当分の間、体は使い物にならなかっただろうということは確信できる。

「こんなんで大丈夫かいな?」というのは、朝起きた時から始まっていた。先月から左股関節に違和感はあり、時々、体勢を替えるときに、「イタタタ・・・」という感じで、脚の付け根の筋肉につるような痛みを感じることが、ずっと続いていた。けれど、走って痛いというのでもないし、何ともないときも多いので、まあ、影響はないでしょ、とよい方に解釈。
それが、レース当日の朝、布団から起き上がるときに、「イタタタ・・・」。起き上がるだけで、こんな状態で、35km走れる?と思いはしたものの、起きてしまえば、何ともないので、そのまま予定通り、スタートラインにたった。

今回の、トレイルランニングレース、朝7時スタートのロングコースの制限時間は8時間。午後3時までに帰ってくれば、ゴールできるというもの。距離は、フルマラソンより短いが、大体知人の記録を見ると、フルマラソンのタイムが3時間半位の人が、5時間半、4時間位の人が6時間程度でゴールしており、まあ、私なら、7時間くらいかと勝手に思っていた。

スタート後、のぼり一方だけれど、岩だらけの場所以外は、ゆっくりと走ることはできた。7㎞地点の最初のエイドで、心配な左脚にエアーサロンパスをふきつけ、下りや平坦なところは、ロードなみに走り、10kmまでは、まあまあのペース。このままなら、6時間半でいけるかも・・・とは思っていたが、11km過ぎたあたりから、本格的な山道。山水が流れて、小さな滝が何カ所もあり、涼しくて気持ちいい。木洩れ日が美しく、ハイキングには最高だけど、今はレース。なんせ足場が悪く、気を付けていたつもりが、まさかの転倒。ちょっと膝をうったくらいで、ひねってはいなかったので、そのまま起き上がって、また走る。いつの間にかかなり標高の高いところまで来ていたようで、しばらく下りが続くあたりから、以前から悩みのタネだった黒くなっている右足の爪の痛みが出始め、足先がつらくなってきた。外反母趾の左足は、こむら返りがおきるし、「まだ、半分も来ていないのに・・・」と不安が先行する。痙攣の特効薬である、芍薬甘草湯を飲んだり、エネルギージェルを飲んだりしながら、まだまだ、こんなもんじゃない、がんばるぞと言い聞かせては先に進んだ。

レース開始から2時間半が経過したあたりから、トップランナーたちが復路にはいり、すれ違うようになってきた。まあ、彼らの走りは、次元が違い、人ひとり通るのがやっとのトレイルを、野生動物のごとく、駆け抜けていくので、まだ往路の普通の人間たちは、立ち止まって、よけるしかない。何度もとまっては、一歩ずつ注意して進む状態で、時間は刻々と過ぎていく。岩場の少ない周回コースに入り、復路の人たちを見かけなくなると、後にも先にも、最後尾付近の私たちだけで、誰も見えない。急斜面は、階段になっているところが多く、脚を手で持ちあげて進む状態。走れそうな平坦なトレイルも、もはや歩くのみ。「こんな山の中で、もし、こけて骨折でもしたら、誰がいつ助けに来てくれるんだろう?携帯は圏外だし・・・もし、(一緒に走っていた知人が)心臓発作で倒れても、AEDは10分以内にはもってこれないよなあ。人がいるところまで下りていくったって、私走れないし。医者として助けることはできないぞ」など、気弱なことばかりが、頭に浮かんくる。

やっと”18km”の表示のところまで来て、時計を見ると、すでに3時間50分が経過。「普通にこのままで帰っても、8時間かかる・・・あの劇坂を、また来た時と同じスピードで走れる(歩ける)訳はないし・・・」どんどん、気持ちは後ろ向きになり、足も痛い。「いやいや、これで終わったら19kmのショートコースに出てたほうがよかったことになるじゃん。フルマラソンの時だって、限界と思ってからが、勝負だったじゃん。まだまだ!!」と、歩くのとかわらないスピードで、ちょっとずつ走っていたが、19㎞過ぎたあたりで、ずっと並走していた知人が、「私、20kmでリタイアするわ・・・」
 その言葉を聞いた瞬間、「なら、私もやめる」

結局、21㎞あたりの、エイドまで歩き、そこで、リタイア申告。すでに、そのエイドで4時間半の関門間近だったので、まあ、仮にがんばったとしても、関門にかかったろうし、このまま無理しても、帰りに180kmの運転ができなかったらそれこそ大変だったし、リタイアの正当性を、色々と自分に言い聞かせて、大会スッタフの方の車でゴールまで連れて帰っていただいた。

参加者名簿をみると、ロングコースのエントリーは410人中、女性はたった39人。やっぱ、普通のおばさんには無理なんだよなと思いはするものの、未練は残る。家族には、もうやめとけと言われるし、全身の筋肉痛は半端じゃないし、やっぱ、来年はまたショートコースかなあ。