院長の「JoJoブログ」

深夜の大都会

2015-11-08 23:19:42投稿

「見えん・・・」
日付が変わろうとするころ、都会の繁華街の真ん中で私はひとりたたずんでいた。

診療を終えて、諸々の仕事を片付けてから新山口駅に向かい、のぞみに乗り込んだ。
名古屋どまりの最終便。終着駅でおりたち、さすが、都会の週末は、夜中でも人が多いなと、駅の構内をきょろきょろしながら歩き、タクシー乗り場を探した。ふと、心配になり、財布の中身を確かめてみると、万円札しかない。千円札がなかったら、タクシーに乗るのは、気が引けるよなぁ。ま、地下鉄でいっか。

今度は、地下鉄乗り場を探す。えっと、地下鉄って、ナニ線だったっけ?
昼間、仕事の合間に、その晩泊まる予定のホテルの周辺地図を印刷しておいた。駅の片隅によって、キャリーバックの真ん中のチャックをあけて、中に挟んでおいたコピー用紙を取り出す。地図の余白には、自分で書いたメモ。
”東山線、栄駅、5番出口、徒歩7分”
そう、そう、東山線ね。名古屋駅も結構広いんだよねぇ・・・
やっと、地下鉄東山線改札にたどり着いた。ホームには、まっすぐ進めないくらい沢山の人が並んでいる。これだけの人が全部電車にのったら、ぎゅうぎゅう詰めになるに違いないぞと、女性専用車両と書いてある所で待つ。
無事、栄駅に着き、5番出口を探す。駅の構内には、結構、案内図があちこちにあって、何度も立ち止まり、案内図を確認。5番出口を出たら、左手に進めばいいはず。
5番出口と書いてある階段を上り、ようやく、地上に出る。
出た途端、「どっちに行くの?」

地下で見た案内板の地図が、地上でどの方向になっているのか、自信が持てない。
そして、自分で印刷した地図を出してみる。

いくら大都会とはいえ、こんな夜遅くては、オフィスビルに灯りはともっておらず、結構暗い。地図を見ても、地図に書いてある文字が、暗くて見えないのだ。
街灯の下にいって、よくよく地図を見ても、建物を示す文字が小さくて読めない。悲しくなって、かばんの奥底から、遠近両用の眼鏡を取り出す。周囲の建物を眺めても、ネオンがともったもの以外は何のビルだかわかんないし、地図にある建物の名前と一致するものを見つけられない。空を眺めてみても、夜中の曇り空には、月も出てないし、東西南北もはっきりしない。この地図のこっちが、この道の方向なの??
不安が募る。
何度も地図と周りを見て、おそらくこの方向に違いないと歩きだしてみるも、なかなか目印となる建物がない。その辺を歩いている人に聞こうかとも思うが、声をかけられそうな人は見当たらず。
でも、どうしよう… ホテルに電話してみるしかないか。こーゆー時に、スマホって役に立つんだろうな。ガラケーもそろそろ潮時かなぁ。携帯で、ホテルの電話番号を探そうとしていたら、目の前のビルにNTTとある。
「NTTって、地図にあったよな」
街灯を探して、その下で地図をもう一度眺め、その中にNTTを見つけたとき、体の力が抜けるのがわかった。方向はあっていたが、一筋、道を間違えていたのだ。5番出口からまっすぐ東に進むとだけ思っていたが、東に進む道が2本あっただけの話。そして、通りたかった道に出てみると、オフィスビルばかりだった先ほどまでの道と違って、ネオンだらけの繁華街。地図もよく見えるし、店の名前もよくわかる。
NTTから3分あまりで、ホテルにたどり着いた。

5番出口からすでに30分が経過していた。

 翌朝は、悔しくて、夜明けと同時に明るくなった街を地図を持ってジョギングし、深夜に間違えた道を確認した。
そして、日本女性医学学会に参加。もう、私は、栄の街で迷うことはないはず。