院長の「JoJoブログ」

寝台列車

2016-03-20 12:33:01投稿

昨日、北海道新幹線にともなって廃止される、寝台特急カシオペアの最後の運行がニュースで報じられていた。
列車に乗っている人、列車の最後の雄姿を見に来た人などへのインタビューでは、当たり前とはいえ、寝台車のいいところを話す人しか映っていなかった。
彼らによると、寝台車の旅は旅情あふれるものだということだが、何をかくそう、私は寝台車が大嫌いである。

寝台特急に乗った古い記憶は、おそらく小学校1年生くらいの時だ。当時、まだ山陽新幹線が広島までは開通しておらず、当然、九州に行くのも、かなりの長旅だった。家族旅行で、広島から宮崎まで乗ったブルートレインは、まず、夜遅く発車するので、子どもの私には、とても辛いものだった。何だか狭いところに寝かされ、通路の足音やレールを刻む音の中でとても眠れるものではなかった。明るくなると、ベッドが椅子に早変わりしたけれど、幼い自分には、宮崎までが地の果てかと思われるくらい長く感じた。
自分の人生で、何度寝台特急に乗ったかは定かでないけれど、最後に乗ったのは、20年以上前の、研修医の時である。学会だったか何かで、東京まで行くのに、夜遅くまで仕事をこなしてからでないと出発できず、時間的には夜行しかなかったためだ。その時は、少しはお金があったので、当時のブルートレインの中では、特別料金の一人用個室を選んだ。
個室とはいえ、ベッドは寝返りをうつのがやっとの広さ。歯磨きくらいはできる小さな洗面台もどきがついていた。荷物をおくと、服を着替えるのも難しいほどのスペースしかなかった。
夜遅くに出発なので、乗ってすぐに寝ようとしたけど、寝台に横になると、一定のリズムで刻まれるガタンゴトーンの大音量だけが耳に響き、眠りようがない。やっとうとうとしたと思ったら、すでに朝。起きて、着替えようとすると揺れてなかなか袖に手が通らない。そのうち、だんだん気分悪くなって、また横になるけれど、細かな揺れが収まるわけもなし。空腹が余計に気分を悪くするのはわかっていても、とても、食事をするどころではなく、目的地に着いた途端、トイレに駆け込む始末。

そもそも、私は、乗り物に酔いやすく、運転することは好きではないけれど、人の運転する車に乗るくらいなら自分で運転する方がまだましだと思うので、何かの時には、常に運転手をかってでる。運転していれば、ひどく酔わなくて済むからだ。乗り物酔いなんて、慣れが大事とはわかっているが、普段、自分で運転する車以外に乗ることがほとんどないので、慣れようもない。成人してからでも、何度も乗り物酔いで吐いている自分にとって、動いているものの中で、服を着替えたり、食事をしたり、顔を洗ったりするなど、言語道断。

いくら”ななつ星”だの、”トワイライトエクスプレス”だの、夢の列車にタダでのせてあげるといわれても、所詮、動いている寝台車。乗りたいとは思わないし、一生、乗ることもないと思う。