院長の「JoJoブログ」

GDM

2020-07-02 23:41:42投稿

GDMと聞いて、何のことかピンと来る人はいるだろうか?
産婦人科医に聞けば、おそらく100%「妊娠糖尿病」(gestational diabetes mellitus)と答えると思うが、一般的には、あまりポピュラーな略称ではない。では、GDPは?と聞かれると、ニュースなどで、よく聞くことばとして、多くの人が、「国内総生産」(Gross Domestic Product)として知っていると思う。

先日読んだ本、帚木蓬生著 「老活の愉しみ 心と身体を100歳まで活躍させる」という、全体としてはちょっと著者の自慢話で終わった感が否めない新書ではあったが、その中で、GDPを増やすよりも、GDMを増やすことが大事という部分があり、妙に納得してしまった。
著者のいうGDMは、Gross Domestic Muscle=国内総筋肉量 という造語である。
人生100年時代に、高齢者が元気に働くことが何よりも大事。そのためには、年をとっても、筋肉がしっかりあれば、介護が必要な状態にはならなくてすみ、長く働けるという理論だ。高齢者が介護を必要とする状態、ロコモティブシンドローム、フレイル、サルコペニアなど、いずれも筋力低下が前提にあるので、とにかく筋力低下しないように、毎日筋トレしようと訴える著者。国民一人あたりの筋肉量が100g減ると、年間の医療費が、男性で25万円、女性で32万円上昇すると見積もられているそうで、筋肉量が、政治経済に影響するというのだ。
私自身、患者さんにもよく言っているが、骨量は、いくら頑張っても増えることはなく、減らないようにするのが精いっぱいだけれど、筋肉量は、何歳になっても、増やすことができる。丈夫な筋肉で骨を支えていれば、骨折のリスクも減らせるし、とにかくこれからの時代は、筋肉が大事なのだ。良質なたんぱく質をとり、運動をするという健康の基本中の基本。これを、国民総出で実行できれば、少子高齢化社会の問題、すなわち介護、医療費、年金などの負担が想定されているよりもかなり軽減できるということになる。

現実的には、筋肉量を増やすためには、運動する以外に方法はない。帚木蓬生氏は、とにかくスクワットをしろと書いていたが、私個人としては、スクワットは大嫌いで、続かないことが過去に証明されている。何より続けられる簡単なものから始めることが大事で、いわゆる足腰が鍛えられればなんでもOK。細く長く続けられる運動を自分でみつけて100歳まで介護なしで生活できるよう、一人一人が気を付けたいものだ。

そして、GDMが1%でも増えれば、GDPが減ったって、高齢化社会日本は安泰なはず・・・