院長の「JoJoブログ」

スリップ

2021-03-08 22:23:24投稿

先日、戦前生まれの私の母が、病院を受診するために、下着を新調したい(この発想が戦前生まれらしい)と、ショッピングモールの下着売り場に出かけて行った時のこと。
売り場の女の子(平成生まれに違いない)に
「スリップを見せてください」とばあちゃん。
「スリップって何ですか?そんなものはうちには置いてませんけど」
この話を聞いた私は大笑い。
スリップなんてものは、平成女子が着ることはないだろうなぁ。でも、下着売り場の店員が知らないのは困るかも・・・そこで、私が
「確かに、私もスリップは着んけど、今頃の言葉なら、キャミソールかもねぇ。」というと母は、
「シミーズじゃろ」
大爆笑。
「スリップのほうがまだ通じる・・・・」
あまりに可笑しかったので、何となくググってみた。
今どきのデジタルネイティブ世代に通じないファッション用語。
ズロース、ランニング、パンタロン、とっくり、チョッキ、Gパン等々
これらは、ものは存在するけど、言い方が今とは違う感じのもの。もの自体をほぼみなくなったのは、ブルマ、ももひき、ステテコ、モンペ等々。
考えてみると、ズボンのことは、パンツというのが一般的だけど、パンツと言えば、昭和の時代は、下着のパンティーを指していた。平成の時代になって、下着のことは、男性ものの場合、ブリーフ、トランクス、ボクサータイプなど、形によって分かれている感じ。女性ものは、パンティーというよりショーツということが多いし、Tバックなどの特殊なのもあるし・・・
ズボンという用語は、総称としては使うけど、パンツと言い方以外に、より具体的な形で色々呼び名はあるなぁ。スラックスとズボンってどう違う?パンタロンは、ワイドパンツ?Gパンは、ジーンズだけど、ストレートとかボーイフレンドとか、ストーンウォッシュとか種類も形も色々。
おそらく、戦前生まれが使わない、タンクトップ、ジレ、パーカーなども昭和には聞いたことなかったなと考え出すと、ファッション用語というのは、とても面白いことがわかってきた。
更に調べてみると、パンタロンというのは、元はフランス語でpantaloneと書き、フランスでは今も普通に使われているとのこと。このpantaloneを略したのが英語のpantsらしい。現代の日本人が身につけている着物以外のファッションは、下着も含めて、明治以降に海外からはいってきたものだから、なかなか日本語が語源のものはないようだ。そんな中、チョッキはベストのことだけど、このチョッキというのだけは、シャツの上に”直接着る”というところから、直着という漢字が語源という説もあるようだ。
衣料そのものだけでなく、ファッション雑誌を見ていると、例えば、「週末コーデ」「着回しボトム」など、よく考えると何のこっちゃ的な見出しだらけだし、アウター、インナー、アンサンブルなど普通に使っている用語もカタカナのみ。これって、日本の歴史だよねー、ファッションは文化だよねーと思ってしまった。
コロナ禍で、お出かけしなくなり、よそ行きの洋服を買う人が減ったこの1年。衣料品業界は窮地に立たされているという中、久々に笑ってしまったスリップの話から出た、ファッション用語を調査した私。旅行や出張などで、流行の服を買って着ていくことが来年度はたくさんありますように。